芥川賞動画生中継の記者会見で、書き手の思いが伝わって本を読みたくなった。
ネット配信している動画サイトで、受賞作発表から、記者会見までの生中継を観ていました。
300人もの報道陣、受賞された方々の到着を待つまで、主催者側の、これまで通例行われてた会見の注意や取材陣の数からか、これまでにない場所の移動や時間設定や、又吉さんだけお三方の共同会見のあと、別に会見を行う等の連絡がありました。いつもとは違う少々混乱気味の会場…。それだけ又吉直樹さんの受賞はインパクトが大きいということでしょう。
このまま、又吉さんだけに注目が集まって、他のお二人には質問が集まらないのじゃないかなと、勝手に心配していました。
3人の受賞者が登場して、受賞発表順に質問が行われました。まず、『スクラップ・アンド・ビルド』 で芥川龍之介賞を受賞した羽田圭介さん。会見の中で語られた印象的な言葉を断片的に拾いました。
こんなに高揚感があるのか。素人がプロになる賞はあったが、プロの方に選んでもらう賞で受賞できたのがうれしい。発表時は銀座のカラオケボックスにいた。受賞したら聖飢魔Ⅱの「WINNER!」を歌うと決めていた。相手の顔を見ないで言うのは簡単だと思う。実体性がないまま、憎むべき相手を作ってしまう。相手の顔が見えた時にどんな行動を起こすか。本で読んでください。口で言えることは小説に書かない。おすすめした本(又吉直樹さんの『火花』)がとれてよかっなと思っている。
高校時代デビューし、『黒冷水』で文藝賞を受賞。授賞式は学生服だったそうです。
アマゾンの商品の説明では、このように内容紹介をしています。
兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。
この紹介を読むだけでも、興味が出ます。なにしてんの、この兄弟・・・『黒冷水』というタイトルの意味も知りたくなります。「白熱ライブビビット」では、芸能人で作家の加藤シゲアキさんが、羽田圭介さんの『メタモルフォシス』も面白いと語ってました。
アマゾンの商品の説明では、このように内容紹介をしています。
完全に奴隷の状態にならなければ見えてこない世界を見たい! SMクラブの女王様とのプレイを重ねるうちに、究極の快楽を求めるようになった男が見たものは何か? 表題作のほか、アナウンススクールの講師と生徒、奴隷と女王様、ふたつの世界が織りなす奇妙な交錯を描く「トーキョーの調教」。マゾヒズムの快楽に耽溺せずにはいられない男たちを描く中編二作を収める禁断の異色小説集。
作品の傾向は、やや過激でしょうか。怖いもの見たさに近い、読んでみなきゃわからないぜと言われているような、刺激があります。
お気楽な状態。大学生で実家ぐらし。会社員生活1年半。専業作家になって、3年前苦しいなあと思った。公務員になったほうがいいか。勉強したほうがいいのではと27才の時考えていた。
生みの苦しみ。創作で困って経済的にも困った。去年から作家としての仕事が軌道に乗り始めた。12年やれてるだけで、恵まれてる。
芥川賞の候補になってと聞いて1か月。受賞したら取材とかで忙しくなる。小説を書く時間はないと言われた。小説家がやることは、小説を書くことのみ。(一言感想は)一言では言えないので小説とかエッセイで表現していきます。
生中継を見ながら拾っていたので、記者からの質問は省き、印象に残ったところだけを残しました。今日になってから、会見の全文が公開されています。
次に、『火花』で受賞した又吉直樹さんです。仕事上顔見知りの記者さんも多いのか、緊張してかしこまった空気ではありません。
びっくりしたんですけど、とにかくうれしいです、ありがとうございます。(太宰治のことを)テレビで勝手に言って、申し訳ないと思って、三鷹にお墓参りに行く。今月2,3回お墓に行った。小説を読み始めたのは、太宰治『人間失格』と芥川龍之介『トロッコ』
(若い人へのメッセージで)僕でジャッジしないで。100冊読んだら、絶対本を好きになる。そこまで頑張ってもらいたい。何かうそみたいですね。金屏風、似合ってますか。(羽田圭介氏との)W受賞、すごくうれしいです。いろんなところで紹介していただいて、偏見なしに扱っていただけるのはうれしいことですね。芥川龍之介さんは、僕みたいな髪型のやつ嫌いやと思います。ベートーベンは天才ぶっているって言っていた。ほめてもらう自信はない。
本気で先生と呼ぼうとしているのは相方の綾部だけ。感謝している。(芸人としてやりづらいのでは?)不都合は今のところ感じてない。コンビでやってるので、不都合ではない。
今日とかは朝から緊張していた。(作品を書く前と後では)書く前はおびえていた。急に書きたくなって書いた。楽しかった。「死神死神」と言われていたのとは、ちょっと違ってきた。『火花』読んだよと声をかけてもらった。芸人100でやってて、それ以外の時間で書いていた。その姿勢でいきたい。今まで通りやっていきたい。お笑いでできないこと、コントでできないことが、そのまま小説にはならないけど、どこかに残っていて、文章の一歩目になる。(次は書きたいものは)あります。
急にテンションがあがった。ジャッキー・チェンの映画を見て階段を走りながら駆け上がって無敵になったような気持ちになって。100万部のイメージは、書いている時は、そんなイメージは実はなくて、書き終わるとせっかく書いたので、いろいろな方に読んでもらいたい。僕の読んで他のも読んで、本好きになってもらえたらいい。お笑い、文学、演劇も盛り上がったらいいなと思う。
(表現者として感じている自由不自由なところ)子どもみたいなことを言うと、自分が二人とか三人に瞬間的になれたら、幅が広がるていうのがあって。小説は書いていたものがそのまま読まれる。小さい頃から独り言があふれてしまって、自分は異常じゃないかと思っていた。
会見の全文です。
お二人の小説に向き合う気持ちがよくわかった記者会見でした。質問内容がすべてよかったとは思いませんが、受賞直後の会見で、会場も受賞者もやや興奮気味で、作り物感がなく、聞きごたえがありました。
ずっと注目していた又吉さん。本屋さんでパラパラではなく、いよいよきちんと購入して読みます。羽田さんの著書も「黒冷水」から、読んでみます。