アンパンマンのあん
やなせたかしさんのことば
・90歳を超えてインタビューを受けていらっしゃったVTRから
ーー「死ぬまで一生(一所)懸命やるんだよ」
ーー「生きているということはやるということ、なんとかなる」
創作意欲を最期まで掻き立てながら、強い使命感に生き抜いた方だとわかりました。
・「『あん』はつぶあんですか、こしあんですか」という問いに対して、
ーー脳みそのイメージから「つぶあん」だそうです。
「なぜ、『あんぱん』なのか」という問いに対して、
ーー「食事にもおかしにもなる」
さらに、「飢え」を救うことは、「絶対的な正義だ」とも。
世界中の子どもたちを「飢え」から救うことが、人類の幸福の絶対的条件なのですね。
・「現代社会はほとんどまちがっているんだよ」
何が正義で、何がまちがっているかは、人によってその意味や見方が違うので、「正義」の定義そのものが、誰にとっての「正義」なのか、偏りやあいまいさを持つ不確かなものだと考えてしまいます。だから、「変えられない」、「無力だ」と思わずにはいられない出来事に、あきらめにも似たむなしさを覚えることもあります。
・よくアンパンマンは自己犠牲の上に成り立っている、世界一弱いヒーローと言われています。「唯一絶対の正義が『飢え』から救うこと」に普遍性があるならば、自分を食べてもらって誰をも救うことができたアンパンマンは、やはりみなさんも思っていらっしゃる通り、「最強」のヒーローで、彼にしかできなかった。そんなキャラクターを通して、やなせたかしさんは「正義とは何か」を、小さい子から大人までやさしく問いかけていらっしゃったと今思うのです。