結婚の自由化の行き詰まり
「平成25年度厚生労働白書ー若者の意識を探るー」
・新聞のテレビ欄を見ていたら、「NHK週刊ニュース深読み▽恋愛戦線に異変!?未婚化すすむ若者たち 」の「恋愛戦線」ということばに違和感を覚えました。「就職戦線」なら、今の若者にも生きていることばだけど、今どき「恋愛」に「戦線」がくっつかないなあ…まあ、何かイイタイコトがあるのだろうとテレビをつけました。
・データは「平成25年度厚生労働白書」からで、以下が番組で取り上げていた数字です。
〇生涯未婚率(50歳まで一度も結婚をしない人の割合)
1950年代:男性1.5%女性1.4% 今 :男性20.1%女性10.6%
〇お見合いによる結婚率
1950年代:50% 今:5.3%
〇「恋人も異性の友人もいない」
男性62.2% 女性51.6%
〇「いつか結婚したい」
男性84.8% 女性87.7%
白書の最後のまとめが「結婚の自由化の行き詰まり」
さらに、NHK独自に「なぜ異性とのつきあいが減ってきているのか」について調査(20代から30代の未婚400人)
「恋愛がこわい」
「お金がない」
「めんどうくさい」
「出会いがない」
「自分の時間が大事」
・コメンテーターの原田曜平さん(博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー)は、「知り合い(異性の)は増えすぎているが(だから恋愛にはなかなかいけない)友達の関係は希薄。『ヨッ友』『いつメン』などいくつものグラデーションがある」と語り、社会学者・詩人の水無田気流さんは「(結婚は)今はハイリスク、低リターン」、さらに、生涯未婚率を10年単位で分析し、その時代時代の社会背景とともに「自由恋愛」「恋愛結婚」について疑問を投げかけ、早稲田大学教授森川友義さんは「『(恋愛する)勇気がない・出会いがない・時間がない』の3ない男は昔お見合い結婚ではけていた」と説明されていました。
・私が驚いたのは、九州大学の『婚学』です。その内容をNHKは「青年よ、結婚に”リアリティ”を抱け」とまとめていました。大学で、結婚についてリアルに考えてみる授業ーーかなり注目されているそうです。「結婚するかしないか、個人の勝手でしょっ」という声はないのかしら。国や大学等のこのような動きが、かなり不自然に感じられるのですが。恋愛相手に、自然に出会いたくないですか?(「自然に」が難しいのか…)
・私はこの番組を見ながら、古典の世界を思い浮かべていました。昔、大学で中古文学を専攻しておりましたので、「招婿婚の研究」をはじめ、結婚の形態の変遷について学んでいました。これは「しくみ」。でもわくわくしたのは『源氏物語』の世界などで繰り広げられる高級貴族の「自由恋愛」(決して結婚は自由ではなかったのですが)。夢のような世界です。さすが紫式部!彼女の本名はわからないけれど、1000年後(こだわるようですが、『山月記』の李徴さんが望んだこと)の女子をいまだにキュンキュンさせています。やはり恋愛は夢のような物語であってほしい、でも、結婚は現実問題。本質的に昔も今も変わらないのではないでしょうか。
- 作者: 砂崎良,上原作和,亀小屋サト,サイドランチ
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