ちょっとナオ帳

なんだかまた書きたくなりました。それだけです。

またこの季節がやってきたのですね。

 村上春樹さんは今年こそノーベル文学賞を受賞するでしょうか?

 

「来年に延びただけ」昨年のハルキストの方々の、明るい希望に満ちたことばを思い出します。

 

衣替えのついでに、本の処分をしています。教科書発見!2006年の現代文に村上春樹さんの「七番目の男」が掲載されています。これで授業をしたよなぁ。

50代半ばの男がその夜に話をすることになっていた最後の人物だった。部屋の中に円く輪になって座った人々に語ったことは、彼の10歳の年の9月の午後の出来事だった。S県の海辺の小さな町。一つ年下の仲の良い友達K。大きな台風が来るという予報の中で、学校は休校となった。「台風の目の中にいる」そのかりそめの静けさの中で、主人公は海を見に行く。その途中でKに出会い、主人公とKとKの家の小さな白い犬は防波堤から浜に降りる。ふと気がつくと波はすぐそばまで忍び寄り、その波はたしかに生命を持っていると恐怖を覚える。逃げなくては、と思った主人公と気づかないK。すさまじいまでの恐怖で防波堤に向かって一人で逃げ出していく主人公はKに危険を知らせるが、波はKをのみ込んでしまう…

その後、主人公は波にさらわれた時のKの笑い顔、口は耳まで裂けるくらい大きくにやりと開かれ、冷たく凍った一対のまなざしを忘れることができなくなります。恐怖におびえる月日が続く中で主人公はあの海に再び行きます。そこで40年という歳月が「古い時間と新しい時間が一つの渦の中に混じり合う」中で救われるのです。

 

短編です。何に焦点を合わせるかは読み手の自由です。「波」「台風」「親友K」「10歳」「50歳」「笑い顔」「恐怖」「救い」「海辺」「時」「七番目の男」等々。気になった言葉の意味するものは何だろうかと小説の文脈で深く深く思考する、そして自分の頭の中のことばを文字で表現してみる。できれば、第3者に「私はこう考えているんだ」と伝わるように。

 

「もう国語からは足を洗ったのにさ。」と思いつつ、教科書を読んでいます。

  

村上春樹全作品 1990?2000 第3巻 短編集II

村上春樹全作品 1990?2000 第3巻 短編集II