ちょっとナオ帳

なんだかまた書きたくなりました。それだけです。

「美しい『花』がある、『花』の美しさという様なものはない」

  はじめての小林秀雄朝日新聞 文化 12版 2013年10月28日(月)

・出た!小林秀雄さん。今年が没後30年だから、2014年の国語のセンター試験第1問【評論】で出題されるかも…と思っていたら、一年はやく、今年(2013)のセンターで出てしまいました。前年度に比べて、大幅に平均点が下がった(過去最低点)ので、「小林秀雄のせい」と巷ではその難しさで持ち切り。

 

・その難解さについて、新聞でも逸話を紹介しています。

小林秀雄が)娘から「何だかちっともわからない」と国語の試験問題を見せられ、「こんな悪文、わかりませんとこたえておけばいい」と言い放ったところ、「でも、これお父さんの本からとったんだって」 

 

・「評論の神様」です。新聞にも「近代批評の神様」と書いてあります。10年ぐらいまではいくつかの教科書で、『無常といふ事』『美を求める心』などが掲載されていました。今は教科書ではほとんど見かけません。けれども、評論の問題集では難易度の高いレベルの文章で出ています。

 

・数々の名言の中で、教科書で知られているのは

「美しい『花』がある、『花』の美しさという様なものはない」

でしょうか。さあて、どう理解しましょうか?「花の美しさ」って普通に言うよね、と言いたいところですが、論説文が苦手な人は、書き手の文脈で読み取ることをしていないかもしれません。つまり、読み手の文脈ではないのです。誰にも思考にくせがあります。自分の考えのくせを他人に分かってもらうのは一苦労です。できるだけわかってもらおうとして、誰にでもわかりやすいことばで書いているものもあります。小林秀雄はそうではなくて、自分の頭に浮かんだことばに忠実だったのではないかと思われます。

 

・コツとしては(小林秀雄に限らず)、書き手を否定しながら読むのではなく、「ふん、ふん」と頷きながら、読んでみるのです。初めから反論は持たないで、近寄ることです。(あくまでも少々評論が苦手だという人向けアドバイスです)

 

・違いをなんとなく感じてみましょう。A「美しい『花』がある」とB「『花』の美しさ」とを読んでみて、具体的な『花』の映像が浮かび上がってくるのはどちらですか?また、「美しい」という形容詞の働きから考えてみてはどうでしょう。さまざまな方向からアプローチしましょう。授業では一つの模範解答へ導くために、確かな考え方を求めることに専念してしまい、作品に近寄る方法を工夫することはあまりしていないかもしれません。

 

・近寄ったら、次は読み手自身の考えをどんどん入れていきましょう。「それは言い過ぎじゃないの」「そこはみんなには当てはまらないよ」など。圧倒されているかもしれませんが、語りかけてみましょう。受容する部分と反論する部分が見つかったら、小論文の下準備ができたことにもなります。

 

・先ほどの新聞の続きに、

文章に気後れするなら、CD化されている講演を聴いてみるといい。「晩年は書くこと以上に話すことを重視されていた」 と話すのは新潮社で小林作品編集に携わってきた池田雅延さんだ。

小林秀雄攻略にこんな方法があったのですね!?記事の最後は

小林のフレーズに「解釈を拒絶して動じないものだけが美しい」 素直に言葉を追ってほしいと言わんばかりに。

 若者にぜひ背伸びをしてほしいと思います。こんな難しい小林秀雄を無理して読んでる姿がカッコよかったのは昔のこと?!

 

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