『シン・エヴァンゲリオン劇場版:‖』の感想:「逃げちゃダメだ」からの解放
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』から8年以上が過ぎた。ああ、そうだった、私はあの時、大きな決断をしたんだ。そんな自分のこともついでに思い出していた。
待ち続けてきた。やっと公開されたという思いと、これでおしまいだという気持ちが入り混じって、劇場に入る前から落ち着かない。3月8日に公開が決定した後からずっとそわそわしていた。それは、わくわく感ではなく、どのような結末になるにせよ、終わってしまうことへの恐れに近い感情だった。これからどうなっていくのだろうと考える次がなくなることの寂しさでもあった。とにかく決着をつけたくなかった。
私にとってちっとも成長しない碇シンジ君は魅力的だった。長い先のことを考えない、折り合いをつけない、うじうじできる、そんな碇シンジ君が主人公だったから、ずっとエヴァが好きだった。
14歳は難しい年齢だと言われる。大人なのか、子どもなのか、何になるのか、何がしたいのか、自分のことなんか何もわからないのに、先のことを考えなければならない。自分でいっぱいいっぱいなのに、誰かのことを考える余地なんかない。わかってほしいけれど、介入はしてほしくない。助けてほしいけれど、自分からは言えない。矛盾だらけの自分が嫌いになる。14歳だから許されたかもしれない曖昧さと危うさは、すぐに過去のものとなる。歳を重ね分別のある大人になるための覚悟は辛い。
シンちゃんはどうなったのか。それを見届けたかった。結末は想像しなかったし、したくもなかった。予告やネットでのうわさもできるだけ見ないで、ただただ成り行きを見守りたかった。
ポップコーンもコーラも手に取ることを忘れた。終わりになって、襲ってきた感情は、シンちゃん、おめでとう、だった。
しかし、「逃げちゃダメだ」を唱え続ける私にとっては、迷いを残したまま「終劇」となった。ともあれ、2回目を観に行く。今度は、冷静に浸る。