ちょっとナオ帳

なんだかまた書きたくなりました。それだけです。

京都丸善に『檸檬』を置きに行きたくなった・・・

2005年に閉店した京都河原町にあった丸善が、京都BALビルのB1、B2に再オープンしました。

【8月21日】丸善 京都本店 グランドオープン|新着情報詳細 |丸善&ジュンク堂ネットストア

 

丸善と言えば『檸檬』。梶井基次郎の『檸檬』は、大正14年初出。そのころの丸善は、河原町ではなく、麩屋町にあったそうです。「『檸檬』の丸善」と言われるようになったのは、昭和になってからとのこと。『檸檬』で馴染みのある京都丸善の再オープンはわくわくします。

 

すでに、ニュース等で、「檸檬置き場」が話題となっていました。

 

私も、お店に檸檬を置きたい・・・

 

高校生の頃、初めて読んだ時、冒頭文につかまれました。(文章の引用は「青空文庫」より)

 

えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終おさえつけていた。焦躁しょうそうと言おうか、嫌悪と言おうか

 

そのあとに続く文章を構成しているすべての言葉に、知性と美しさがあって、かっこいい小説だなと思っていました。

 

いけないのはその不吉な塊だ。以前私を喜ばせたどんな美しい音楽も、どんな美しい詩の一節も辛抱がならなくなった

 

何故なぜだかその頃私は見すぼらしくて美しいものに強くひきつけられたのを覚えている

 

その檸檬の冷たさはたとえようもなくよかった

 

いったい私はあの檸檬が好きだ。レモンエロウの絵具をチューブから搾り出して固めたようなあの単純な色も、それからあのたけの詰まった紡錘形の恰好かっこうも。

 

どこを切り取っても麗しい文章です。

 

何度か読み返すうちに、もはや矛盾や疑問を感じさせない、完成した作品だなと思いながら、その度に「私」の行動に触発されます。

 

丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た

 

・・・できません。読んだ時から、わかってはいるけれど…。でも、やってみたい…。

 

そんな思いを抱えた読者は山ほどいるのだと推測いたします。今回の再オープンで、丸善さんは粋なコーナーを作ってくれました。

 

話題になっていたコーナーです。

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檸檬を棚に置くのではなく、このかごの中に入れる・・・今回は、まずは下見ということで、次回決行しようと思います。

 

ここのコーナーには、京都丸善のスタンプとメモ用紙が用意されていました。

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小説の『檸檬』を再現したスタンプとこのメモ用紙。原稿用紙になっています。レトロな模様がどこまでも丸善ファンの心をくすぐります。

 

もう一つの目当ては、B2のフロアーにある「MARUZEN cafe」です。京都限定の「檸檬ケーキ」が食べたい! MARUZEN cafeは関東にもありますが、ここの檸檬ケーキはほかとは違うはず…

 

すでに、売り切れでした・・・残念。今度、檸檬を置きにくるときに、食べます。そのかわり、これを食べました。

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ハヤシライスが名物ですが、カレーオムライスを注文しました。このオムライス、色、形が檸檬のようです。食す人に無理強いをさせない味と量です。

私はほこりっぽい丸善の中の空気が、その檸檬の周囲だけ変に緊張しているような気がした。 

 

埃など少しも感じない店内で、かごの中の檸檬を見ていると、鮮やかなレモン色とそれから受けるさわやかな感じと同時に、鼻の周りに汗がうっすら出てきて、さらに唾液も出てきそうで困りました。

 

檸檬 (280円文庫)

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檸檬 (角川文庫)

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