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ちょっとナオ帳

なんだかまた書きたくなりました。それだけです。

アイドルだったのりピーは国語教科書の小説に登場していた

国語 

南木佳士『ウサギ』:清い心は弱い」

・テレビの番組に酒井法子さんが出ていました。教科書に掲載されていた小説を思い出しました。

ウサギは寂しいと死んじゃうってのはほんとかなあ。

 

・小説の始まりのことばです。この小説での授業が終了した直後に、彼女の事件が大きな話題となり、ステレオタイプ的ではありますが、うさぎのイメージ=「純白、清潔、可憐、繊細、けなげさ」がダメージを受けた感じでした。(この小説にも彼女の名は登場し、ドラマの科白が文脈に出てきます)「碧いうさぎ」という曲を歌っていたことも、少々皮肉な要素に変わってしまいました。

 

・現在、過去、現在という時間軸の中で、父親となった主人公が、中学生の次男のことばによって過去を呼び起こされてしまいます。現在の家族の在り様、特に主人公の父の記述は、妻の介護を通しての食事や排泄の苦労が語られることによって、かえって父親の「生」を感じさせます。主人公は随分昔の、小学4年の冬の出来事を思い出します。

 

・群馬の山村の学校において、転校生「中川清子」は可憐で、頭もよく、運動もでき、しかし控えめな性格で、振る舞い何もかもが都会的で洗練された文句ない人物として描かれています。あっという間にクラスのアイドル的存在に。彼女が来るまで中心にいた自分のポジションを奪われた主人公は、嫉妬と少年期にありがちな不器用さで、清子にあるいたずらをしてしまいます。清子のランドセルに生きている「うさぎ」を入れて……次の日、そしてそれからずっと、その「うさぎ」はどうなったのか、謎のままです。主人公が恐れていた発覚や清子の狼狽などは何もなかったのです。主人公は黙っていてくれた(と思っている)優しい清子に淡い恋心を抱きますが、中学生になって清子は転校していきます。

 

・それから偶然の再会が待っていました。予備校で、医学部を目指す中、成績上位のクラスにいた彼女は精神科医となるために、学業優先であることを主人公に告げます。主人公の素直な喜びとは裏腹に、昔のことなどは全く話題にさえならない、冷たさを感じさせる清子の態度。清子の表情もどこか寂しげであることが気にかかり、清子は別世界にいる人間に感じます。二人はそれぞれ大学へ進学します。

 

・5年後、群馬に帰った時、主人公は清子の死を知ります。どうも入水自殺?淋しい葬式だったことを聞かされました。過去を振り返った今、主人公は、世話をされながら生き続ける自分の父親や家族との現実生活の中で、清子にまつわる過去を封印しようと考えます。

 

・あの「うさぎ」はどうなったのか?なぜ「清子」は死んだのか?なぜ主人公は思い出を封印しようと思ったのか?一つ一つ時間軸にそって「なぜ?」に近寄っていく作品です。主人公にとっても、読み手にとっても「清子」の実体は断片です。だからこそ、主人公の目を通して読むことが大切です。ということは、詠み手は主人公を理解する丁寧な読みが求められます。

 

・『うさぎ』「清子」、酒井法子さん自身のイメージ、ドラマの「小雪」のイメージが見事にマッチしていたので、事件が起こるまでは比較的導入しやすい教材でしたが、現在、掲載している教科書はあるのでしょうか?

 

南木佳士さんはかつて二度、センター試験国語Ⅰの第2問〈小説分野〉に出ました。過去問演習をしている受験生はもう解きましたか?

 

冬物語 (文春文庫)

冬物語 (文春文庫)

 

 

 

碧いうさぎ

碧いうさぎ