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ちょっとナオ帳

なんだかまた書きたくなりました。それだけです。

私は今、人生を改めて最初からやり直そうとしています

『七番目の男』

・明日、ノーベル文学賞が発表される予定ですね。私は熱狂的なハルキストではありませんが、現在、世界中で親しまれている日本の代表的な作家ですから、そろそろ今年あたりと期待しています。

 

・高校の教科書で、『七番目の男』を読んだ人もいるでしょう。この題名だけを取り上げると、ひょっとしたら「これも村上春樹さんの小説?」と思うかもしれません。村上作品で好きな作品ベスト10に挙げられることはあまりないようです。

 

・部屋の中に丸く輪になって、人々がそれぞれ自分のことを話す夜。七番目の男が最後の人物だった。十歳の年の九月の午後。彼は台風の日の出来事を静かに語っていく。想定外の自然の脅威の中で、彼は兄弟のように肉親的な愛情を持った一つ年下の友人「K」を失ってしまう。その瞬間にみた、「K」の私に対する憎悪の表情が忘れらず、40年以上も悪夢を見続ける。しかし、「K」の描いた優しい風景画を見て、「K」のまわりの世界に対する深いまなざしを感じ取り、私を支配していた深い恐怖から解放され、暗闇は消滅した。ーー「私は今、人生を改めて最初からやり直そうとしています」--最後に救われ、回復を遂げたことに感謝する。

 

・1996年の作品です。その1年前に阪神淡路大震災がありました。その後も数々の災害で人は傷ついてきました。今回はこの小説のキーワードを入れることができませんでした。

 

・「K」…『こころ』で登場する「私」と同じ名前です。『七番目の男』も『こころ』も『山月記』も、主人公が一人、他者との会話を挟まず、自己の内面をずっと語っていく形式です。人は最後、誰かに語りたいものなのかもしれません。自分がどのように生きて来たのか、真実の姿を知ってもらいたい思いがあふれるのでしょうか記憶してください。私はこんな風に生きてきたのです」『こころ』の中での一文です。『こころ』と『山月記』は、たった一人が主人公の思いを知ることになります。そして主人公は人間としての終わりを迎えます。『七番目の男』は複数の人物に語る設定で、人として再生します。三つの作品を並べて深読みすると、子どもから大人になるまでの、友人との関わりが再生のカギとも言えるのではないでしょうか。

 

村上春樹全作品 1990?2000 第3巻 短編集II

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レキシントンの幽霊 (文春文庫)

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